大学院の構成?専攻
博士前期/応用生命科学専攻
Division of Applied Life Science
バイオの視点で植物?微生物の機能向上に挑む
20世紀後半におけるバイオサイエンス、バイオテクノロジーの飛躍的な発展は、人類に遺伝子と細胞を操作する技術をもたらし、地球上に存在するすべての生命体を具体的な目的と方向性を持って改変することを可能にしました。
しかしながら、遺伝子に関する知識と操作技術は基礎研究や応用研究の枠を遙かに越え、今改めて、人々の生命に対する基本概念の再構築を必要としています。生命体が持つ新機能をさらに解明し、その有効利用を環境や人間心理との調和をはかりながら、自然と人類の調和、融合、人類の安定した存続?持続を目指し、バイオサイエンス、バイオテクノロジーを駆使した教育研究を展開します。
博士前期課程では、バイオテクノロジーを駆使し、植物、微生物を対象とした有用遺伝子の単離と機能解析、その機能を向上させることを目的とした教育研究を行い、得られた成果を用いて、生物資源産業の振興や地域社会の発展に貢献できる高度専門技術者を育成します。
上記の目的の達成のため、応用生命科学専攻では教育研究の基本単位として、4つの研究領域を設けます。
植物遺伝子機能研究領域
モデル植物を用いて、生命現象を分子生物学的に解明します。得られた基礎知識及び技術を応用し、分化?形態形成、細胞の増殖、生殖機構を明らかにします。さらに、遺伝子工学的手法を用い、植物特有の有用物質の生産機構、物質の生理活性を解明し、付加価値の高い機能性物質を生産する植物を創生ます。また、植物における物質生産性向上に向けた遺伝子導入ベクターの開発研究も行います。
植物細胞工学研究領域
21世紀後半に予想されている爆発的な人口増加による食料問題の解決を目指し、実用植物(作物)を研究対象に、遺伝子組換え技術と組織培養技術を駆使し、育種素材の研究開発を行います。さらに、生物工学的手法を用い、人間の暮らしに潤いを与える園芸植物の研究開発を行うほか、地域に密着した有用な稀少植物を保全?開発する研究を行います。
微生物機能研究領域
微生物は、多様な自然環境で生存し、環境応答機構を獲得して、高度な複合的生物システムを確立してきました。本領域では微生物の環境応答システムの基本原理の解明を行います。さらに、微生物を利用した有機化合物の循環システムの構築、エタノールやバイオガス等のエネルギー資源開発、機能性低分子および高分子化合物の生産、これらの諸研究を遺伝子、酵素、細胞レベルおよび社会工学、社会科学的に行います。
環境生物システム研究領域
地球環境問題、廃棄物問題、資源の枯渇等の制約から、人間活動や生活自体のライフスタイルの変革が求められています。廃棄物の発生抑制やリサイクル、そしてライフスタイルを考え、農業を中心とした循環型社会のあり方について研究、生物工学的手法による水質?土壌?大気の浄化、難分解性化合物の分解などの研究開発を行います。また、微生物を活用した環境浄化技術(生物農薬)や新エネルギー(バイオガス、バイオディーゼル)および有用化合物(油脂?テルペノイド)生産の研究、さらに様々な環境を想定した環境浄化のシミュレーション(マイクロプラスチックなど)を行います。