- 生物資源工学研究所
大腸菌への遺伝子導入により、植物カロテノイドのルテインの生産力を高めることに成功しました
2021年12月9日
カロテノイドの一種であるルテインは、人の目の水晶体に存在し、強い光から目を保護する働きをしています。そのため、目の健康に役立つサプリメントとして需要が高まっています。現在市販されているルテインは、マリーゴールドの花から抽出されたものですが、より大量かつ安価な供給が望まれています。私たちは、大腸菌の遺伝子組み換え技術を用いて、ルテインの生産力を高めたいと考えました。ルテインは、IPP(イソペンテニル二リン酸)とDMAPP(ジメチルアリル二リン酸)を合成した後、それらを材料として多段階の酵素反応により合成します。そこで、ルテイン生産のキーとなる酵素の遺伝子の特定、遺伝子間の活性バランスの調整、材料となるIPPを大量に合成するための方法の改良、などを行いました。そして、遺伝子組み換え大腸菌により、当初0.26 mg/Lであったルテイン生産性を約40倍の11.0 mg/Lまで向上させることに成功しました。研究成果は、Synthetic Biology誌にオンライン掲載 (https://doi.org/10.1093/synbio/ysab012) されました。なお本研究は、NEDOのSmall Cell Projectによる支援を受け、グリコ(株)、産業技術総合研究所、京都大学、鳥取大学との共同研究により行われたものです。
ルテイン生産大腸菌のタンク培養
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