- 生物資源工学研究所
古賀博則名誉教授が日本農業研究所賞を受賞しました
2024年5月22日
古賀博則名誉教授が、公益財団法人日本農業研究所の第31回日本農業研究所賞を受賞しました。受賞題目は「電子顕微鏡観察等によるイネいもち病の感染防御機構の解明およびエンドファイトの害虫防除への利用」です。
卓越した電子顕微鏡観察技術によって、イネいもち病菌がイネ表皮細胞に侵入する瞬間から細胞中で侵入菌糸を伸展、蔓延する過程や、イネ細胞の抵抗反応を詳細に可視化しました。その後、イネ科牧草のエンドファイト(植物内生菌)の生活史の解明とその有用な機能の活用という先駆的研究に取組み、エンドファイトの菌糸は植物細胞内に侵入することなく、細胞と細胞の隙間を伸展するという共生成立機構を明らかにしました。
植物細胞の生長に引きずられ菌糸の節間が伸長するという発見は、菌糸は先端でのみ生長するという菌学の常識をくつがえしました。また、エンドファイトに感染した一部の芝草は重要害虫である蛾の一種シバツトガに耐虫性を示すことに着目し、シバツトガ耐虫性芝草を作出しました。
現在、多くのゴルフ場でシバツトガの防除にエンドファイト感染芝草種子が用いられ、農薬削減に大きく貢献しています。
2024年5月10日 第31回日本農業研究所賞表彰式
左から2人目 古賀博則名誉教授